適応障害、心身症・身体表現性障害について
転勤、配置転換、昇進、結婚、出産、転居など人生の大きな環境の変化があると、半年ぐらいは何か落ち着かず、場合によっては体調が悪くなったりします。
しかし人はたいてい、どんな変化にも順応してゆくものです。
順応がうまくいかないと、不安や憂うつなどさまざまな不調が続きます。
これを新しい環境への適応がうまくいかないという意味で適応障害と呼びます。
学生や新社会人の5月病も適応障害の一種です。
もっと慢性に続くストレスのために身体の機能が悪くなるとついに体の病気になることがあります。これが心身症です。
すべての身体疾患は心理的ストレスの影響が大きければ心身症と考えられます。
身体機能の障害が自律神経系のアンバランスや痛みなどの感覚の異常だけで、それに対する強いこだわりが見られる場合は身体表現性障害という精神疾患と考えます。
たとえばストレス性の下痢などは心身症とも身体表現性障害とも呼ぶことができます。
当院の治療方針
適応障害は新しい環境への適応の仕方をアドバイスすることが治療の中心です。
しかし不安や憂うつ、不眠などが強いとそれが難しい場合もあるので、一時的に抗うつ薬、抗不安薬や睡眠薬などをお勧めすることもあります。
心身症・身体表現性障害は慢性のストレスへの対処の仕方をアドバイスするのが中心です。
薬物療法はストレスへの抵抗力を高めるためにSSRIなどを勧めることが多く、身体症状を和らげるためには患者ごとの症状に応じた薬を使用することがあります。
しかし身体症状によっては検査や薬物の副作用モニターに専門医の管理を必要とする場合があります。
その場合には専門医をご紹介し、当院では心理的側面だけをお引き受けしています。